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ナムジャイブログ

2011年01月23日

タイ人と障害者

 実は、今日は別の話題で書こうと思っていたのだが、前回のブログのコメントを書いていたら、この話題について書かなければ・・という気がしてきたので、急遽変更した。


 私が、タイで障害者を見掛けたのは、結婚して主人のタイの実家を初めて訪問するために来タイした頃のことだった。
実は、その何年も前からタイには留学、旅行を含め何度か来ていたのだが、まだタイの文化や風景に気を取られて、そういう部分には目が行っていなかったのだろう。

 それは、主人が観光がてら友人を紹介するために連れて行ってくれた、バンコクのどこかの歩道橋の下だった。
バスや車、それ以外の雑音に混じって、アコーディオンの伴奏に合わせた、演歌のような歌が聞こえた。

 よくいる路上の芸人かと思って近寄ってみたところ、歌っているのは素人丸出し・・と言うよりごく普通の小太りしたおじさんなどだった。
 ところがその人たちは決まって真っ黒なサングラスを掛けていた・・。
そして、気が付いたのは、彼らが盲目であるということだった。


 タイのバンコクなどでは日常の風景だが、普通の物乞いに混じって、手足がない人が路上に座ったり寝転んだりして、物乞いをしていることがある。
 初めてこれを見た人は少し驚くに違いない・・と思うが、もっと度肝を抜かれたのは、毎年ある県の中心部の大きなお祭りで、歩くのも不自由なくらいの人ごみに紛れて、その人ごみの足元を這いずり回って、ここぞ!とばかりに物乞いをする両足のない人たちだ。
 我が家の子供たちも毎年、幼稚園くらいの年からこういう人を見ているので、「可哀想・・」と親にお金をねだってその人たちに寄付したりするが、その人たちを忌み嫌ったり、差別の目で見る様子はない。


 それから、タイには身体障害だけではなく、精神障害者というのも多い。
特に、田舎の方に来ると、同じ村の中での結婚が多く、何世代という時を経て、次第に血縁が濃くなっていくためか、普通の妊娠出産で、先天性の精神異常とか、発達異常の子供が生まれることが多くある。

 私は医療に詳しくないのでよく知らないが、そういう人たちは決まった顔つきをしているのですぐに分かる。
その程度は、顔つきが少し違うだけとか、言語障害があるとか、発達障害で年齢に対して身体が小さい(俗に言う「ケッ」=小人)が知能は普通など軽いものから、自分で歩行が出来ないとか、排泄も出来ないくらい重いものまである。


 そういう知能障害の男性が近所にいた。
名前は「エー」と言い、30歳前後なのだが中学生くらいに見え、よく市内を一日中ブラブラ歩き回っていた。
うちの前に来ると「刑事ごっこ」をして、ミックも喜んで遊んでいたりした。
 
 子供の行く小学校にも、小頭症の子供がいて、小学5年生だが、小学1年生くらいに見える。
ミックのクラスにも、一日中、先生の机の下に寝転んでいる、「ピー・タイ・トッ」(机の下のお化け)と呼ばれている子供がいる。
先生は、「デック・ピセット」(特別な子供)だから・・といい、その子のしたいようにさせて、構わず授業を続けている。


 つまり、タイ人にとって障害者とは、こういう存在なのである。

 タイ人の思考回路の基本には仏教があり、その教えには、因果応報、つまり前世での業が現世の姿になる、現世での徳が来世での幸せになる・・という考えがあり、こういう何かの障害を持って生まれてきたのはその人の業・運命であり、仕方がない。

 ありのままの姿を容認する。
それがタイ人の障害者に対する意識の基本なのではないかと思う。

 私も、よくお客にお釣りを渡すときに相手の指がなかったり、片腕がなくて、荷物が持ちにくそうで心配する・・などということがある。
初めはビックリしたが、今では慣れた・・というか、それがその人なのだ・・という感覚になっている。
 何かの爆破事故にでも遭ったのか、全身ケロイド状態だったり、片腕がなかったり・・多分、日本では障害者扱いで、家族が世間を気にして家の中に閉じ込めておいたり、専門施設へ入れてしまったりするだろうと思われる人も、普通に生活しているのがタイの社会である。

 タイに来た当初に、橋の下の障害者の物乞いを見たときには、「タイは行政がしっかりしていないから、障害を持つ人も自活しなければならない。日本なら、こういう人たちには、自治体が援助してくれるものだ。」と、日本の行政の完備を自慢に感じ、タイの社会の遅れをせせら笑ったりしたものだった。

 しかし、今はまったく反対の感じを抱いている自分がいる。

 タイの社会は確かに、役所職員などの私腹が肥えすぎていて、国民の税金が正当に使われていないことは事実だが、日本のように、障害を持つ人々の可能性を試す前から蓋をしてしまっているようなことはない。
まあ、タイの社会の未熟さをかばう言い訳のようにも聞こえるかも知れないが、この未熟さのお陰と、タイ仏教の浸透した人々の思考回路のお陰で、いろいろな可能性を試す、活力的な障害者が多いのは事実である。

 私が日本で見た(外では滅多に見かけないが・・)障害者たちは、まるで家族が隠すようにして生活していた。
もちろん、障害者用の施設などでは、彼らの生活を充実させるべく様々なイベントやプログラムが組まれているかも知れないが、日本のそれはあくまで「世間様」から隔離された世界での事のような印象がある。

 タイの障害者は違う。
ごく自然に社会の中に共存している。
物乞いを職業とするのも、自分の特性を活かした職業選択という考えである。
 
 タイの芸能界には、その障害者としての風貌を武器に活躍するお笑い芸人も多い。
毎回同じようなメンバーで映画を製作するお笑い芸人のグループの中には、障害を持つ芸人が多数いるが、その芸風もその特性を笑いのネタにしながら、国民的な人気を誇っている。
 そして、それを見る視聴者にも、彼らに対し、「ピカーン」(=障害者)という感覚はない。
その「障害」が「特質」となって、すでに彼らの「障害」ではなくなっているからである。

 そういう意味で、タイ人の障害者への差別意識は薄いと思う。
日本は、表面上は、行政が保護したり、家族が養ったり・・ということで、一見、障害者を大切にしている社会のように見えるが、
それが逆に、社会全体で特別扱いすることで徹底的に差別しているという状況になっているのある。
障害者を障害者として特別扱いすることが、一般社会の中から障害者を閉め出しているように思う。

 どちらが、いいのかという問題についてはそれぞれの考え方次第なので、何とも言えないのだが・・・・。
 
タイ人と障害者
               
             タイ人の理解は仏教が基本





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Posted by バットニャオ at 04:03│Comments(11)タイの常識
この記事へのコメント
☆ あまり考えない、本音で生きるタイ人ですよね。
それで生きていかなければならないからなんでしょう。
日本が異常なんでしょうね。
私はパラリンピックが嫌いです。
生きることに精一杯でそんなことしてられないという障害者は大勢いるのですから。
Posted by ピヤポン at 2011年01月23日 07:19
ぼくは、仕事を辞めてからこのかたというものすっかり隔離されてしまった感じで、社会との接点は税務署からの納税通知書だけ。

生まれた時は「人間が多すぎる(家族計画をしっかりとしないのがいかん。お前の一家はなっていない。)」と”原罪”意識を植え付けられ、そのあとも何かと「団塊云々」と言われて窮屈な思いをし、今となると「お前よ、いくつまで生きるつもりなんだ?」と邪魔者扱いをされています。

ぼくも社会に受け入れてもらいたいです。だから、ぼくはタイに行くのです。エトランゼとしてその外延部分をさすらっているだけとは承知のうえ。家内は、友達連中に「怪しい」とさんざんに吹き込まれているようですが。

すみません。またまた真剣になってしまいました。

パットニャオ様には、ぼくの詰まらない書き込みにも、丁寧にレスポンスしていただき、感謝しております。
Posted by p_tak at 2011年01月23日 18:56
やっぱりタイに来たばかりのころですが、かなりいやだったことのひとつに、「障害者の真似をして笑いをとる」人が結構いるというのがありました。テレビのお笑いとかでもあったかな?あとは知り合いで結構いいところのお坊ちゃんとかでもへんにびっこひいたりとか…。

こういうのもある意味「障害者」を特殊視していないことからおきる現象だったのかもしれないですね。自分の気持ちの中には「障害者=弱者」なんて構図がありすぎるから彼らの真似をして笑いをとろうとする人が不愉快だったのかも…。


ちょっと話は違いますが、今日本は「バリアフリー」とかいって、お年寄りでも歩きやすいとかそういうところにすごく留意してますよね。タイは逆で段差なんかあたりまえで、歩道でも平気で凸凹していますが、こっちの方が鍛えられていいのでは??
Posted by NAPPY at 2011年01月24日 07:57
隔離か手厚い福祉保護かはその人の感覚や感情、また、育ってきた環境などによっても変わると思いますが、私が、携わってきた行政経験の中では、この様な人たちに対しては、「隔離」政策ではなくあくまでも、『協同』の行政を推進してきました。
施設生活の中で、その人の能力にあった仕事を探し訓練を兼ねて、少量であっても生活費を自らが稼ぐ、という社会生活上の最低限度の事は遣ってもらっていました。
この施設には宿泊ではなく、施設のバスが稼動し、自宅からの通園の方法を取っています。

タイの仏教が日本と格段に違い(上座と大乗の違いばかりで無く)良い面も有り、また、悪い面も有りです。私自身もタイ仏教には20年近く関わってきていますが、素晴らしいところは本当に見習うべき所がただ有りますし、一面、如何かなと思うことの一つは、生産能力を持つ有能な人々が、サンガに隠匿して生活を送っている。自己昇華のために。際限がなくなりますのでこのへんで止めます。
今日はいい心に残る題材をありがとう。
Posted by 阿羅漢 at 2011年01月24日 17:40
まったく持ってその通りだと思います。
なんともすばらしい話題を取り上げてくださいました。
まさにどちらが良いかは人次第ですが、
タイはより人間らしいですよね。
そこが私がタイを好きな理由の一つでもあります。
Posted by ウチャラポーン at 2011年01月27日 00:49
バットニャオさんのやさしさと視点のするどさに感心します。
が、障害にこだわりのある私にとっては、タイ人全体として障害者への差別が強いと思いますし、やっぱりバットニャオさんは自分が障害者でないからlこの文を書けたんだなあとも思います。(自分が重度の障害者だとしたら、同じことが書けないような気がします)

でも、とっても参考になる勉強になりました。今回はどうもありがとうございました。
Posted by さくらぎちょう at 2011年01月27日 01:58
パットニャオさんの話題の提供といい、皆さんのコメントといい、このプログは最高ですね。
皆さんの書き込みも真剣に読ませて頂いています。

こういう話は、タイ人だと笑いで流すかもしれませんね。
日本人はどうでしょうか?
それより、タイとか日本ではなくて、人によるかもしれません。

友達のように朝に夕に、お祈りしたら気持ちも楽になれるかもしれませんね。
(時々現実を回避しているだけのような気もしますが)
Posted by チャンドラ at 2011年01月31日 17:14
チャンドラ様のご感想、ご意見、100%賛同です。現実回避だけかもと仰いますが、現実をうまく回避することはとても大切な、生きていく上での「術」だと思っています。

ぼくの友人の一人はイギリスで弁護士として遊ぶ間もなく仕事しています。仕事さえしていれば嫌なことを考えずに済むからだそうです。

彼は、アイリッシュ系のイギリス人でロンドンで育ちましたが、小さい時から「アイリッシュ、アイリッシュ」と散々に苛められたそうです。超一流の弁護士ですが、彼にしてもイギリスの社会には受け入れられていないという疎外感を持っています。
Posted by p_tak at 2011年01月31日 22:42
日本は生活保護とか、母子家庭とか、他人の金にたかる奴が多すぎ。自分で生きていけ。
70以上の年寄りも公務員も同じ。教師も同じ。

自力で生きているのは、自営業だけ。失業保険も
生活保護もない。赤字でも国はお金をくれない。

タイの母子家庭のおんなは偉い。
援助してくれる男をみつけて援助してもらう。
日本もそうすればよい。自分らの子供はおのれら夫婦で育てろよ馬鹿やろう。
Posted by me-sai at 2013年01月16日 21:20
法則があったのは振り子が止まって数時間ごとに止まります:箱が順番に当たって数時間ごとに1週間を回転するため、そのため数時間ごとに一回の時計に止まるについて、まず箱の車輪とぜんまいを検査するべきです。柄の頭を回してねじをまきます。ぜんまいは永遠にもし(指が非自動的に表す)をしっかり付けることができないならば、ぜんまいが断ち切るのだと断定することができます。
ウブロレプリカ普通なぜんまいは間近な以外に所をかぎ針で編んで断ち切って、依然として6-8時間の幸運なことを維持することができます。このような情況が新しいぜんまいを交換してあるいは再びリベット締めがかぎをつくるのでさえすれ(あれ)ばぜんまいの外でできました。
Posted by ウブロレプリカ at 2013年11月16日 17:56
私は障害で140cmの女ですがよくタイで指差されて笑われますよ
差別はあります。
Posted by ささ at 2016年05月29日 02:14
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