インバウンドでタイ人を集客! 事例多数で万全の用意 [PR]
ナムジャイブログ

2011年09月13日

殺人予告?

 ほぼひと月前に書いた記事 『三角形の面積は?』 http://mic.namjai.cc/e54372.html参照)に登場した、三角形の面積の計算も出来ない建築技師のパナットは、このひと月の間に、我が家の周囲に様々な問題を残したまま、姿を消してしまった。


 もともと、我が家の倉庫の建設も未完成のままだったが、我が家の主人は、自分でせっせと後始末をし出し、出来ないところ(高所恐怖症なので屋根に上るのは苦手)は、自腹で別の職人を雇い、何とかほぼ完成させた。
 
 最初の計画にあった、倉庫隣接のトイレも鉄で骨格だけ溶接し、穴を掘り便器を設置したところで放置されていたのを、これでは、誰も用を足す気にはなれないと思うので(壁がないので丸見え・・・)、その壁と屋根を数日掛けて取り付け、何とか義姉の店に来た客が(我が家が作ったのにこれを利用するのは、ほとんど義姉の客になる。)使えるようになった。
殺人予告?

                 ドアの右側は廃材を一枚一枚切って特に時間が掛かった


 我が家の問題は、先に払ってしまった二十数万バーツで遣り残しの後始末までしければならなかったのを諦めればこれで済むはずだったのだが、実はそれ以外にも義姉のタウンハウス&商業用住宅建設や、隣人のウワンまで、我々の話を聞いて、このパナットに家の突貫改装工事を頼んでしまったものだから、隣三軒がこのパナットの所業に頭を悩ませられる悲劇となった。

 それに我が家も、それらの工事に伴い、当初、大丈夫だと言っていた、義姉の指示で、色々な工具や部品をパナットにツケで売ったものだから、その商品代も未払い状態のまま、その代金の回収も怪しくなってしまった。


 そうこうして、当初は、ほぼ毎日来ていたパナットが、義姉と工事代金の支払いのことで揉めるようになり、週に1,2度しか姿を見せなくなり、その工事の遅れから当初完売したはずの義姉の建物の予約が半数近くキャンセルされたことで、義姉はますます苛立ち、そのことでまたもパナットと衝突し、今月の初めのある日、作業員たちの給料日を境に、ついにパナットの姿が見えなくなった。
 
 実は、後で聞いたのだが、この作業員たちは賃金の未払いが何ヶ月も続いているので、ストをすると言ったのだが、その賃金を払うためか、パナットが義姉に工事代金の先払いを頼んだところ、工事の遅れと、前払いが度を過ぎていることを理由に断られ、それ以降、雲隠れしたというわけである。

 
 さて、これで義姉も我が家もウワンの家も未完成・未払いのままで困ったのはもちろんだが、それよりも一番困ったのは、パナットに雇われている作業員の人たちであった。


 彼らは、このパナットが請け負った仕事をするために、故郷のブリラム県から、はるばる働きに来ている日雇い労働者たちである。
 話によると、ほとんどが親戚で祖父から孫の代まで一緒に出稼ぎに来て、ここでは、一軒の長屋の部屋を借りて、20人近くが一緒に寝起きしている。
  
 我が家の主人が気さくで(他人には)人当たりが良いのと、ちょうど家の前にクルワイ・マイ(蘭の花)を趣味でたくさん育てて吊るしてあるので、彼らのうちのリーダー格のおじいさんとその息子・チャン・ヤオがそれで話が合い、主人と割と親しく話していた。

 そのため、主人と同世代らしいチャン・ヤオは、このパナット失踪後から、毎日のように我が家の庭先に来ては、主人と話す機会を待っているようだった。
その歩く姿は、長身のせいか、余計に悲壮な感じで、がっくりと首を落とし、一家・一族を抱えて、毎日の生活に困っている様子が私にも見て取れた。
 ちょうど主人の手が空いて、主人と話したときには、泣きそうな顔で、毎月のローンも残っているし、家族の生活費も掛かる、ただ仕事もしないでいるだけでは、どうにもならない・・・ということを話していたそうである。


 そうして、約一週間が過ぎた昨日、またチャン・ヤオが、覚悟を決めたような顔つきで主人のところに来て話出した。
そのうち、普段はいかにも人の良い感じのチャン・ヤオの目付きが変わって来て、こう言った。

 「タム・ヤーンニー・ディヤオ・コー・ドーン・ケップ・ネー」 (「(パナットは)こういうことをしていると、近いうちに始末されても仕方がない。」)
 
 普通、「殺す」という言葉は「カー」だが、あくまで「カー」と言わず、「ケップ」(片付ける・始末する)を使った辺りが、表面的な怒りではなくて、心底から滲み出るような恨みを感じさせる。

 
 主人も言っていたが、イサーンの中でも、ブリラムは特殊な県で、その多くがカメーン(クメール人)の血を引いている。
彼らブリラム人は、地元では、タイ語でもイサーン語と言われるラオ語でもなく、カメーン語と呼ばれるクメール語で話している。
ブリラムの全てがそうではないが、ちょうどこのチャン・ヤオ一族は、カメーン人らしく、我々の前では訛ったタイ語で話すが、仲間うちでは、カメーン語で話しているということだ。

 そして、主人が真剣な顔で付け加えたのが、

「カメーンの人は、殺るときには本当に殺る。」である。

 まあ、これは歴史を踏まえた主人たちタイ人の偏見かも知れないが、そのチャン・ヤオの思い詰めた眼差しを見ていると、彼は本気なのでは?と思えて来た。
よく感じるのだが、「ブリラム出身」と聞くと、この辺の人は、皆一歩引くようなところがある。



 タイでも毎日、恨みつらみが原因の殺人事件が新聞の一面を飾っているが、パナットの無残な姿がそこに載る日も遠くはないかも知れない・・・。

 彼らの未払い賃金は、総額で十万バーツにもなるというから、それでどうして今まで黙って働いて来たのだろう・・と思うが、主人が言うには、働いていればいつか賃金が貰えるという希望があるからだ・・と言うことだ。
 
 それが、今回は、雇い主のパナットが雲隠れしてしまったことで、「このままでは野たれ死にだ・・」という危機感を感じたのだろう。
 
 そういう危機を回避するべく、今日、義姉を筆頭に我が家の主人、それに数人の作業員の若者を連れて、パナットの潜伏先という情報があった、ここから100キロほど離れた、別の作業現場に乗り込んで行った。

 先日、バンコクのパナットの自宅に出頭するよう勧告状を送ったという義姉だが、それでも一向に現れないパナットを捕まえて話をするためである。

 この話の行方は、まだまだ続きそうである。
次は如何なる展開が待っているのか、それは私にも分からない・・・・。


裏ブログ?
 イサーンで暮らす我が家の子供たちとの生活に重点を置いた、姉妹ブログ 『子供に学ぶタイ語』 http://lawan.namjai.cc/ も併せてお楽しみください。


より深い、タイ人、イサーンへの理解を願って・・・・ランキングに参加しています。
  
タイ・ブログランキング


にほんブログ村 海外生活ブログ タイ情報へ
にほんブログ村



同じカテゴリー(タイ人の実態)の記事
待ち人来ず
待ち人来ず(2013-02-05 00:15)

魔術師?詐欺師?
魔術師?詐欺師?(2013-01-12 01:05)

人生いろいろ…。
人生いろいろ…。(2012-10-28 00:34)

詐欺師
詐欺師(2012-08-23 22:32)


Posted by バットニャオ at 16:32│Comments(5)タイ人の実態
この記事へのコメント
三角形の面積、(底辺でしたか。)矢張り只者ではないと思っていましたが。

取り残されて賃金未払いの日雇いの「作業員」の方々が可愛そうです。

後日談をお待ちしています。
Posted by 阿羅漢 at 2011年09月13日 17:27
身の毛のよだつような展開になってきましたね。いつもいつも人を宥すご主人も真剣ですね。いやはや。
Posted by p_tak at 2011年09月13日 19:52
Mr.バナット 雲隠れですか!

昔の話ですが、友達も事業の共同出資かなにかで資金提供した後、持ち逃げされてしまったそうです。
末端の人が捕まっても、親分はなんなく逃亡し、資金は戻らなかったそうです。
その話の時、「ギャング」がどうのとか、「ヤルのヤラレル」とかいう話も聞きました。
日本人の金銭感覚はタイでは通用しないということが、今回もよーくわかりました。
Posted by チャンドラ at 2011年09月16日 23:38
★ 私の元妻がサケーオ、その後つきあったのがブリラム、現彼女がスリンで
全てカンプチャーに接していて、実家の母親と電話でカメーン語が飛び交います。
私も気をつけようと思います。
Posted by ピヤポン at 2011年09月17日 06:03
阿羅漢さん、こんばんは!
 そうです、私は初対面のときから、嫌な・・というか、合わない感じがして、最初の測量をしているときに、義兄に「あの人、詐欺じゃない?」と聞いてしまったくらいだったのに、当初は誰も信じて疑いませんでした。今頃になって、主人は、「だから、俺は最初から気に食わなかったんだ・・。」などと言っていますが・・・。

p_tak さん、こんばんは!
 特に義姉は、大金が掛かっているので真剣です。今は裁判の準備を進めていますが、この手の人間がそう簡単に引き下がるわけはないだろうと、私は思うのですが・・。相変わらず、私の話には耳も貸さない主人たちなので、もう、勝手に放って置いて、成り行きを見守るしかないようです。

チャンドラさん、こんばんは!
 みんな、隣近所でも友人でも人を騙しても、平気で生活している人種なのですね。よく日本人は、「世間さまに顔向けが出来ない」などと言いますが、タイでは「自分様」はあっても、「世間様」を気にする人はいないようです。

ピヤポンさん、こんばんは!
 お久しぶりです。さすが、タイ在住暦の長いピヤポンさん。
お付き合いにも歴史がありますね。もう、カメーン語は大体理解できるのではないですか?くれぐれも恨みだけは買わないようにお気をつけください。
Posted by バットニャオ at 2011年09月22日 02:25
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。